基軸通貨「米ドル」と商品相場「金価格」との関係

実質金利マイナス時代は金に追い風

急激な信用収縮の中で金融機関がヘッジファンドから資金を回収する動きを強めている。ヘッジファンドは清算も視野に入れて株式など保有資産の売りを加速させている。そのような逆風を受けながら、金は急激に売り込まれつつ、価格はしぶとく持ちこたえている。

 

米連邦準備理事会(FRB)は、ゼロ金利政策に限りなく近づいているように見える。欧州中央銀行(ECB)や中国、日本も追随利下げの様相だ。こうなると世界的な実質金利マイナスの時代になる。金利を生まない金にこれは追い風となろう。

 

そしてドルの長期的構造的不安要因が財政赤字膨張などで再び市場で懸念されることになるだろう。ただし、大手投資銀行の内部リスク管理が厳しくなり、金の自己勘定部門が売買を停止、縮小する動きがあるので市場の流動性が減少し、薄商いの中で短期的に値が大きく振れがちな状況が続きそうだ。

 

“誰の債務でもない”という金の独自性

投資家が金に頼りたくなる気持ちは分かる。日本の経済成長が足踏みし、不況感が強まっているといわれるが、それでも平均的な日本国民の暮らしぶりは、米国民のそれと比べてはるかに良いと思う。日本はどれだけひどい目に遭っても債権国であり貯蓄国。米国は債務国であり、貯蓄のない国だ。

 

もし米国が「日本の失われた10年」と同じ道をたどるのであれば、米ドルの信認は弱まり、米国は「日本の失われた10年」以上の厳しい10年を経験することになるだろう。その可能性は十分にある。そうなったとき金の価値は浮上する。

 

09年は世界的景気後退が進行することになる。その中でコモディティー(商品)への需要鈍化が懸念され原油は売られている。しかし、金には商品の顔に加えてマネーの顔があるという二面性を忘れてはならない。特に信用リスクが高まる中で。誰の債務でもないという金の独自性が改めて評価される時代になった。

 

ただし、読者諸氏に注意したいことは、信用収縮の影響によりプロの売買に関してリスク管理が強化されたことで、株もドルも金もマーケットの流動性(取引量)が薄くなっていることだ。その結果、短期的な価格変動(ボラティリティー)がどの市場でも大きくなっている。個人投資家が失敗を避けるためには価格リスクを分散させるために“買い”も分散させることが重要だ。

 

プロはこう見る!風雲急を告げる為替相場の見方

為替は政治に左右される極論はあくまで「論」です

 

適正価格はどこなのか?という議論ですね。日々の貿易は名目レートでやっていますから、やはり名目で話さないと意味がないと思います。5年くらいの長期移動平均を見ると1ドルー00円くらいが適正価格かと思われるので、それと比べると今はかなり円高ですね。

 

今日、尾河さんにもう一つ聞きたいことがあります。為替のプロは普段、どんなデータを見ているのですか?

 

データというと、たとえば米国と日本の長期金利差などは、ドル円相場との相関性も高いので、注目しています。特に、リーマンーショック以降、FRBが初めてゼロ金利政策や量的緩和に踏み切ってからというもの、こうした「日米の長期金利差」に相場が反応しやすくなっています。特に、最もFRBの金融政策に対する市場の見方を反映しやすい米国2年債の利回りはドル円相場との相関性も非常に高いです。

 

その他に、為替相場の動きを見るために普段、チェックしているのは、米シカゴーマーカンタイル取引所(CME)の通貨先物取引(IMMポジション)における非商業部門の動きです。投機筋の持ち高が分かるので参考になります。

 

また、VIX指数もよく見ます。これは、S&P500を対象にしたオプション取引の値動きをもとに算出されているのですが、投資家の心理を表す数値としてよく使われています。「恐怖指数」と呼ばれることもありますね。これが20を割ると楽観的、30を超えると悲観的と判断されています。リーマンーショックの時は非常に悲観的だったので80くらいまでいったんですよ。